「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の提言「豊洲市場における対応策について」の申し入れ

 6月13日付で、豊洲移転中止署名をすすめる会が、小池都知事および市場のあり方戦略本部に提出した申し入れ書の全文を掲載します。

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東京都知事 小池百合子 様
市場のあり方戦略本部 御中


2017年6月13日 豊洲移転中止署名をすすめる会

 

「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の提言「豊洲市場における対応策について」の申し入れ

 

 6月11日に開かれた専門家会議は、傍聴者との質疑の途中で一方的に会議を打ち切り、豊洲市場の安全対策と称する「提言」を取りまとめました。
専門家会議は、豊洲予定地に盛土がされてないという状況の下で、その現状の評価と対応策を市場関係者や都民に理解を得ながら練り上げるために、市場関係者など傍聴者との質疑を十分におこなうことを運営ルールにしてきました。これは、平田座長がこれまでの会議で繰り返し表明してきたことです。
今回の「提言」の取りまとめは、傍聴者が求めた継続審議や修正提案を受け入れないことを宣言し、一方的に会議を打ち切ったものです。受け入れない理由も説明することもなく、質疑も認めないという極めて異例、乱暴な運営です。私たちは、こうした非民主的なやり方に強く抗議するとともに、平田座長に専門家会議を再開し、提言について最後まで市場関係者や都民と質疑することを強く求めるものです。
同時に、小池百合子都知事、市場のあり方戦略本部には、以下の点を申し入れるものです。

 

1、 6月11日の専門家会議の「提言」は、市場関係者や都民の理解を得たものとは到底いえるものではありません。東京都知事として、専門家会議に対して、会議を再開し「提言」について市場関係者や都民との質疑をおこない、そこでの理解と了解をえる努力を継続し、それを踏まえた「提言」とするよう強くもとめることを要請します。

 

2、 11日に専門家会議がとりまとめた提言「豊洲市場における対応策について」は、生鮮食料品等を扱う豊洲市場の「食の安全・安心を確保する」ものでないと考えます。私たちは二度にわたり、専門家会議に食の安全・安心の確保の立場から公開質問状を提出しましたが、専門家会議は「会議の質疑でおこなう」としか回答せず、質問内容については会議の場でも、文書でも回答がありませんでした。11日の専門家会議の傍聴者との質疑、応答でも食の安全・安心に関わって繰り返し質問されましたが、専門家会議及び東京都の回答はそれにこたえるものではありません。
 私たちは、専門家会議の「提言」が食の安全・安心が確保されていないと考えるおもな問題点を以下の点で指摘するものです。
① 専門家会議の「提言」は、平田座長も会議で認めているように、豊洲市場用地の無害化することも、土壌汚染を環境基準以下にすることも目指すものではありません。従って「提言」には土壌汚染を除去したり、軽減したりする対応策は提案されていません。第二回定例都議会で、小池都知事は豊洲市場の無害化の約束が果たせなかったことを陳謝しましたが、この「提言」の対応策では、無害化できないことを「陳謝」するどころか、「無害化はできなくて当たり前」と居直るものであると言わざるをえません。
 いま必要なことは、豊洲予定地で盛土されてない市場施設の地下から、ベンゼンで環境基準の最大100倍(1.0mg/L)、シアンで最大1.4mg/L(環境基準は不検出)などの高濃度汚染が各所の地下水調査で検出されているもとで、残置されている土壌汚染の実態を調査、解明し、この汚染を除去・軽減する対応策を示すことです。これを放棄した「対応策」なるものは、専門家会議の設置要綱で「生鮮食料品等を扱う卸売市場において食の安全・安心を確保する観点から土壌汚染対策について検討する」とした「目的」から大きく逸脱しています。私たちは、この「提言」を撤回することを求めます。
② 「提言」の中で、汚染の低減策に関わる対応策は「地下水管理システムの機能強化」の項にしかありません。このシステムの「揚水処理により、汚染地下水を徐々に回収し、地下水汚染を徐々に浄化していく」というものです。しかし専門家会議で平田座長は、「いつに環境基準以下になるかは言えない」「遠い将来とは言わないが、長くかかる」と言わざるをえませんでした。地下水管理システムは、地下水位を管理水位(APプラス1.8m)まで低下させるシステムで、汚染を除去することを目的にしたものではありません。「揚水処理で地下水がくみ上げられるのだから、いつかは汚染地下水も低減されるであろう」という希望的観測の「対応策」でしかない、まさに無責任な対策です。
 こうした「対応策」を提示してくる根底には、豊洲予定地に残存している土壌汚染に対する専門家会議の非科学的な見地があります。専門家会議では、地下水から検出された高濃度汚染の原因を、5街区の1ヶ所だけ汚染土壌が残っている可能性があるが、それ以外は地下土壌の間隙水の一部に汚染が残っている、地下水管理システムの本格稼働によって地下水が流動化し、それがモニタリング調査で検出されたという「仮説」で説明してきました。しかし、地下水管理システムの本格稼働が始まった昨年10月から再々調査した4月末までに地下水管理システムによって揚水された地下水は約2万7千トンです。それ以外に地下ピットに溜まった地下水などを3万トン以上排水しました。しかし、地下水汚染は11月末を中心におこなった第9回モニタリング調査(1月に結果発表)と比べても4月末の再々調査の方が高濃度汚染となっているというのが実態です。地下水を大量に排出しても地下水汚染が低減しない、専門家会議の「仮説」は崩れています。高濃度汚染を検出した各所の周辺に汚染土壌が残置されていると考えるのが常識的な見地です。専門家会議を傍聴していた土壌を専門にしている研究者からこの点を指摘されても、これまでの「仮説」を省みない専門家会議は、科学的な立場からかけ離れていると言わざるをえません。科学的な立場にたつのなら、少なくとも「仮説」に固執せず、それを検証する立場にたち、残置されている汚染土壌の実態を解明する調査を提案すべきではないでしょうか。
③ 6月11日の専門家会議では、傍聴者から「地下ピット内の水銀などのガス濃度上昇防止策」についても様々な疑問、意見が出されました。主なものでも「検討案1の遮水シート方式の実例と検証や素材の検討をした上での提案なのか」「検討案2のコンクリートを敷設する際は、擁壁や建築の杭・構造物などと密着させた方法をとるのか、そうでないと有毒ガスが侵入する」「ガスの排出は減圧・換気式だとかえって有害物質の揮発をすすめるのでは」「ベンゼンの揮発率に誤りがあるのでは」などがあります。これに対する専門家会議や東京都からの明確な回答がないもとで「提言」を原案のまま一方的に成案にしました。とても市場関係者や都民の疑問にこたえようという態度ではありません。改めて、出された質問、意見に対して、明確な回答を求めます。 
④ 高濃度の汚染土壌が残置されているもとで豊洲市場を開場すると、汚染が市場全体に及ぼす最も危険があるのは、首都直下型の巨大地震がおきた時です。豊洲予定地で液状化、噴砂がおきれば汚染物質は各所で噴出します。専門家会議では、東京都の説明―液状化対策について施設区域はレベル2(大地震対応)、施設以外の区域はレベル1(中地震対応)をおこなってきた、施設外区域のレベル1の対策でも市場問題プロジェクトチームからは大地震になっても対応できるという回答をえているから大丈夫である―を「了」として認めてきました。しかし、6月5日の市場問題プロジェクトチームの「第1次報告書(案)」では、豊洲市場の液状化対策の項で、施設外敷地の地盤の液状化対策は、レベル1の対策がなされているので、「大地震(レベル2相当)においても液状化の危険度が『小』の状態におさまっている」と明記していて、「なし」「軽微」より高い「小」という危険性を報告しています。液状化、噴砂による汚染物質の噴出の危険性は否定されていません。さらに、浚渫土によって埋め立てられた豊洲予定地は軟弱地盤であって、都内が震度6強(レベル2相当)でも豊洲の土地は震度7以上となることが想定されます。高濃度の汚染土壌を残置していれば、巨大地震がおきた時に液状化、噴砂によって大量の汚染物質が噴出し、市場機能を長期にわたってマヒさせる危険性があります。この点からも、専門家会議の「提言」では都民の食の安全・安心を確保できるものでないことは明らかであります。

 

3、 築地市場の豊洲移転は、卸売市場に参加する卸、仲卸、関連業者すべてに関わる大きな問題です。これまでの豊洲移転をめぐる経過は、市場関係者全体の合意と協力を得ないまま強引に進めてきたことに大きな問題があります。そして、東京都が豊洲新市場を無害化するという約束を果たせなかったことに対して、市場関係者は移転の前提が崩れたと大きな憤りをもっています。11日の専門家会議の対応を含めて東京都への不信感は計り知れないところにきています。市場関係者との信頼を失ったままでは築地市場の豊洲移転はできません。
 東京都は移転の是非も含めて、築地市場の関係者の全体の意向や意見を聞くことを強く求めます。専門家会議では、傍聴者から要望に対して中央市場長は「新市場建設協議会で」と答えるだけで、市場関係者全体の意向、意見を聞くことを明言しませんでした。小池都知事におかれましては、築地市場の関係者全体の意向、意見をふまえた対応をしていくことをお約束していただきたいと強く要請いたします。

 

以 上